希少なプレ・リシュモンのミネルバ製ムーブメントを使用した38本の限定版。
2006年、リシュモングループは、歴史的に重要な1868年設立のスイスの独立した時計メーカーであるミネルバを買収し、当時は主に筆記用具で有名だったモンブランへと組み入れた。ベルナー・ジュラのヴィルレに本拠を置くミネルバは、その歴史の大半は高品質なクロノグラフとストップウォッチの製造で知られていた。そのヴィンテージものは依然として比較的容易に見つかり、魅力的な価格で入手できる。2000年代初頭、リシュモンに買収される前、ミネルバの当時のオーナーであったエミリオ・ニュッティ(Emilio Gnutti)は、同社を急激に高級化し、スイスの大手ブランド製品に匹敵する完成度の高いムーブメントをレパートリーに追加した。
今回取り上げている時計、モンブラン ヘリテイジ スモール セコンド リミテッド エディション38は、この時代にルーツを持つ。これは38本のみの限定版で、リシュモンの買収の3年前に作られ、その後ミネルバのアーカイブでモンブランによって発見されたムーブメントを使用している。もちろん、モンブランはヴィルレにある時計事業に多額の投資を行っており、精巧に仕上げられたムーブメントは今でもその主力となっている。ブルガリ BVLGARI (新品)この買収と投資により、モンブランは時計メーカーとしての地位を大幅に強化することができた。今日、モンブランは二つの時計工房を運営している。かつてのミネルバはヴィルレにあり、豪華な仕上げと手作業による組立てを主とする。もう一つは、アールヌーボー様式の大邸宅を改造したものがル・ロックルにあり、より多くの商品が製造されている。
当然、この時計に見られる新古品のCal.MB M62.00は数に限りがあり、またそれがリシュモンの買収前に製造されたということでこの時計はかなり特別で希少なものとなっているが、モンブランがそれを限定モデルに使用するのは初めてのことではない。このキャリバーは2003年から2006年の間に作られ、モンブランによればその期間中に250個のみが製造されたという。
ヘリテイジ スモール セコンド リミテッド エディション38のデザインは、1940年代と1950年代にミネルバが製造したドレスウォッチのスタイルからインスピレーションを得ており、実際、Cal.MB M62.00は、1948年のピタゴラスキャリバーの最新版である。レイアウトは同じだが、手作業により面取りされたエッジ、両側のペルラージュなど、仕上げが格段によくなっている。プレートとブリッジも今回はジャーマンシルバーを採用。ブリッジの鋭い内角は、面取りが手作業で行われたことを示しており、コート・ド・ジュネーブが至る所に見られるなど、手作業はムーブメントの他の領域にまで拡大している。歯車の歯にはファセットがあり、ルビーのシンクにはゴールドシャトンが装備されている。全体としては、非常に印象的なハイエンドムーブメントである。
MB M62.00は、手巻きの機械式時計のムーブメントのデザインとほぼ同じくらいクラシックで、チラネジが特徴的な1万8000振動/時の大きなテンプを備えている。エスケープメントにはさらに二重調整システムが装備されており、ヒゲゼンマイは時計職人が中央に配置できるようスタッドで固定することができる。またミネルバの"悪魔の尻尾"があしらわれたスワンネックを介して、ヒゲゼンマイの長さを調整するための緩急針も付いている。